誰でも年齢とともに聴力は悪くなります。加齢に伴う難聴は高い音から難聴が始まりますので、すぐに日常生活で不自由になるものではありません。しかし、徐々に人間の声に近い高さの音(会話音域と言います)まで聞こえが悪くなります。そうなると普段の生活でも「会話の内容が聞き取りにくい」と自覚したり、あるいは家族から「テレビの音が大きすぎる」、「最近聞こえが悪くなった」などと指摘されたりするようになります。加齢による難聴に対しては治療で難聴を回復させる方法はありません。したがって、補聴器が必要になる場合があります。では、いつ頃から補聴器を使えばよいのでしょうか?
一般的には、日常生活で難聴のために言葉が聞き取りにくく、日常生活で不自由を感じる場合は補聴器の適応となります。また、最近は難聴と認知症が関連しているとも言われています。聞こえが悪くなると、会話のくい違いなどから社会的、家庭的にも孤立感を覚えることが多くなるため、あまりひどくなる前に補聴器を使い始めた方がよいでしょう。
補聴器の形によって耳穴型、耳かけ型、ポケット型の3種類に分けられます。それぞれの特徴、聴力による使い分け、価格は下記の通りです。(価格は実際に補聴器店でお聞きください)
●耳穴型
耳の中に収まるタイプで、目立たないのが特徴です。音を捉える部分(マイクロホン)が耳の穴の位置なので、より自然に近い聞こえです。軽度難聴(30~50dB)、中等度難聴(50~70dB)、高度難聴(70~90dB)の方に対応できます。価格は概ね一台約10万~40万円程度です。
●耳かけ型
耳にかけて使います。操作は比較的簡単ですが、汗が入りやすいという難点があります。目立ちにくい小型のものから、扱いやすい大きさのものまで、様々なサイズがあります。軽度難聴(30~50dB)、中等度難聴(50~70dB)、高度難聴(70~90dB)の方に対応できます。一部は重度難聴(90dB以上)にも対応可能なものがあります。価格は概ね一台約8万~40万円程度です。
●ポケット型
補聴器を胸のポケットに入れイヤホンを耳に入れるタイプです。本体が大きめなので操作が簡単で、大きな音量が出せます。中等度難聴でもやや聴力の悪い場合(60~70dB)、高度難聴(70~90dB)、一部は重度難聴(90dB以上)にも対応可能です。価格は概ね一台約5万~9万円程度です。
補聴器の使用を考える場合は、まず耳鼻科で耳の病気がないかをチェックすることが必要です。
治療でよくなる可能性があれば、まずそちらが優先されます。
次に聴力検査が必要です。これも音の聞き取りだけでなく、言葉の聞き取り検査を行います。その上で補聴器が必要と考えられる場合には、耳鼻科医と相談の上、認定補聴器専門店(あるいは認定補聴器技能者がいるお店)での購入をおすすめします。
補聴器は使う方の聴力に応じて調整が必要です。さらに購入の前に試聴(補聴器を貸し出して実際の生活で使ってもらいます)してみることをおすすめします。必ず本人が販売店に行ってください。
補聴器を購入する際に大切なのは、聴力や聞こえの状態、予算なども含めて、本当に使う人に合ったものを選ぶことです。納得できる補聴器を手に入れるためには、下記のようなしっかりとした手順を踏んでじっくりと選ぶ必要があります。
まず、補聴器は聞こえが悪くなる前の「聞こえ」に戻すのではなく、今の聴力を最大限に活かし、快適な「聞こえ」を提供するものであることをご理解ください。しかし、自分に適した補聴器を使用することにより、「聞こえ」の不安が解消され、より活動的な生活が送れるようになります。そのためには自分の聴力に合った補聴器を使うことが大切ですし、補聴器を購入した後も調整が必要な場合があります。
聞こえが悪くなると、音の小さい静かな状態に耳が慣れてしまいます。そのため補聴器の使い始めではうるさく感じる人もいますので、段階的な調整が必要です。不快な大きな音は調整する機能がありますので、購入された補聴器店で調節することができます。
当院では金曜日午前に予約制で補聴器相談を行っています。
その日は兵庫県内で最も信頼できる補聴器専門店の一つである神戸ヒアリングセンターから認定補聴器技能士に来てもらい、また日本耳鼻咽喉科学会認定の補聴器相談医である石田恭子医師の2名が上記のような手順で補聴器の相談、聴力検査の結果に応じた補聴器の詳細な調整などを行っています。また、その場ですぐに買うかどうか決める必要はなく、通常2週間程度ご自宅で使った上で購入を検討していただいています。(補聴器を借りたから必ず購入しないといけないということはありません。)
ご購入いただいた補聴器が調子が悪い、故障などの場合も神戸まで行っていただく必要はなく、当院の補聴器相談の日に補聴器のチェックを行います(その場合は電話で予約をしてください)。
補聴器相談をご希望の場合は、まず通常の診察を受けていただき、耳の診察、聴力検査を行い、補聴器のご希望などをお聞きして補聴器相談の予約を行っています。
ほかの人のいろいろなお話より、実際にご自身で使ってみないと補聴器の効果、聞こえ具合などはわかりません。それも他人の補聴器ではなく、自分の聞こえに合わせた補聴器でないと意味はありません。
補聴器相談をご希望の場合はお気軽にお申し出ください。
予約診療について(ネットから予約)
午前9:30~12:30 (月火木金土) 午後16:00~19:30(月火木金)
※水曜・日曜・祝日は休みです。 土曜日は午後休診です。
※月曜日午後診(月曜日が休日の場合は火曜日午後診)および土曜日は耳鼻咽喉科専門医2名で診療しています。
★金曜午前の副院長の診察は補聴器相談です。
補聴器相談は、日本耳鼻咽喉科学会認定補聴器相談医である石田恭子医師と認定補聴器技能者が補聴器相談を行っています。 まず、一般の診察を受けていただき、聴力検査など必要な検査を行って、補聴器が必要かどうかを判断いたします。その上で補聴器相談外来に予約いたします。 なお、補聴器相談の予約はWeb予約ではできません。ご了承ください。